赤城大沼

わかさぎ雑学 湖の成因とわかさぎの成長

水温による分類(循環湖)について

十和田湖
  • ● 熱帯湖
  •  湖の表層水温が1年を通じて4℃以上の湖沼 琵琶湖と芦ノ湖を結ぶラインより南の湖沼が当てはまるといわれています。熱帯湖の中で、夏に水温躍層ができて秋~春に1回循環する湖沼を1循環湖といい、関東以西の低地にある湖沼の多くは、この特徴がみられます(亜熱帯湖)

  • ● 温帯湖(2循環湖)
  •  湖の表層水温が1年の中で4℃を挟んで上下する湖沼 夏には水温躍層ができて、年に2回、表層から湖底までの水が混ざり温度が一様になる湖沼で、赤城大沼や榛名湖・日光湯の湖などが当てはまります。

  • ● 寒帯湖
  •  湖の表層水温が1年を通じて4℃未満の湖沼 日本にはありません

成因による分類について

草津白根山湯釜
  • 断層湖
  •  断層の活動によって出来たくぼ地に水が溜まって出来た湖のことです。バイカル湖や諏訪湖・木崎湖です。

     
  • 火口湖
  •  火山の火口に水が溜まって出来た湖のことです。草津白根山の湯釜や霧島山の大浪池です

  • カルデラ湖
  •  火山の山頂付近が陥没した大きな穴に水が溜まったものです。十和田湖や田沢湖など大きな湖が多いのですが、赤城大沼や榛名湖も 古い時代には大きな湖だった事がわかっています。大きな湖の中に、新たな火山が出来て現在の形になったのです。

  • せき止め湖
  •  溶岩や地すべりなどで川が堰き止められて出来た湖です。群馬県では菅沼や丸沼です。栃木の中禅寺湖は有名ですね。

  • 海跡湖
  •  もともと海であったところに形成された湖です。わかさぎの漁も行われている霞ケ浦は有名です。

  • 止まりダム湖
  •  山の傾斜丘陵地と平地の境界付近の河川を堰き止めたもので、灌漑用・ため池と呼ばれるものです。榛名山や赤城山南麓に数多くみられます。ワカサギが良く釣れるのは、鮎川湖や鳴沢湖、バラキ湖や丹生湖ですね

  • 流れダム湖
  •  山地の渓谷を堰き止めたもので、元になった河川の支流や枝沢が良く残り複雑な形をしています。群馬県には奥利根湖や神流湖、藤原湖などの大きなダム湖が数多く存在しています。

    わかさぎの成長について

    ワカサギの体重変化

     この項目は、白石芳一さんの著書 『湖の魚』を参考にグラフ化したものです。古い書籍ですが、ヒメマスやアユの事など興味深い内容ですので、手に取るチャンスがあれば非常に参考になると思います。

     ワカサギの体長は、6月~9月頃が成長率が大きく、体重は10月頃が大きく育っています。冬に水温が下がっても成長を続けていますから、低水温でも食欲旺盛な魚なんですね。

     

     群馬県内のダムや貯め池などをはじめ多くの湖にワカサギが放流され生息していますが、水産試験場の調査では、群馬県南西部の湖では当歳魚がほとんどを占めていて、群馬県北部のダム湖や赤城大沼・榛名湖では2年魚が生息しているとのことです。

     毎年わかさぎの解禁の釣果を耳にするとついつい釣れた数ばかりが記憶に残るのですが、会話の中では必ず体重や体長なども話しているんですよね。『200尾釣ったけど、ワンカップに1杯程度だよ~』とか『でっかいよ~13cmあったよ』などなど。。。

     

     魚の口の大きさは体調に比例していますが、単純に針を大きなものや小さなサイズの物へ交換するのではなく、魚の大きさや釣れ具合から、竿の硬さのやラインの太さを変えるなど、システマチックな調整が必要なのもわかさぎ釣りなのです。

           

    わかさぎの体重と生息数について

    わかさぎの生息数

     グラフは、今から約70年前の諏訪湖のデータ-です。毎年1回、夜に湖を取り囲む9方向からワカサギ漁師と水産庁中央水産試験場の方が、岸から湖の中心に移動しながら水深が1m増す毎に投網を打って行き、その時捕獲されたワカサギの数から湖全体の生息数を計算して求めた数字です。

     

     体重の数字と生息数を1つのグラフにまとめてみると生息数が多い時はワカサギの成長が悪く、生息数が少ない時は比較的大型に成長することが読み取れます。

     

     一つのフィールドに通い続けても、年によって大きなワカサギが釣れたり小さなワカサギが釣れ続く事があります。過去には、ワカサギのサイズを語る以前に『解禁前の試し釣りで釣果が得られない年』もありましたね。自然産卵がうまくいかないのか、設置した発眼卵からの孵化率が悪かったのでしょうか? それとも、大型の捕食魚に食べられてしまったのでしょうか?面積が小さく浅い湖沼では、何かしらの些細な変化が影響しているのかもしれませんね

    わかさぎの食べ物は?

    捕食の割合

     孵化直後のワカサギは他の魚と同じようにお腹に卵黄(卵黄嚢仔魚という)でしばらく成長します。約1週間程度で口を使ってエサを食べるようになり、4・5月頃はワムシや小さい植物性プランクトンを食べて体長2cm程度に育ちます。

     

     夏になるとミジンコなどの動物性プランクトンを捕食して過ごし、秋にユスリカが羽化のために浮き上がって来ると、ワカサギは集中して捕食するようになります。湖沼によっては捕食する種類も変わりますが、ユスリカはどの湖沼であっても、ワカサギの重要なタンパク源になっています。

     

     グラフは、諏訪湖で投網1回でとれたワカサギの内容物を調べた数値をグラフにしたものです。グラフに表れている様にワカサギは1・2種類のプランクトンを食べている割合が高いことがわかりますね。この内、胃の中が2種類にプランクトンに分かれていたワカサギは(胃の半分がゾウミジンコ・あと半分はケンミジンコ)湖を泳いでいて遭遇したゾウミジンコを食べ尽くした後に、移動した先で遭遇したのが、ケンミジンコだったのだろうと著者は述べています。

    わかさぎの1日について

    生息数          

     グラフは生息数を求めるための調査で、8月の夜間に打った投網に入ったワカサギの捕獲匹数と密度を表しています。水深4mから沖には多くのワカサギが居ることを示し、密度から夜は散らばっていることが読み取れます。夜間、魚が寝ている間はミジンコ類の活動が活発です。ワカサギ達は未明から起き出して群れを作り浅場のプランクトンを捕食していると思われます。

     

             

     太陽が昇るとプランクトンは底の方へ移動しますのでワカサギは回遊しながら深場へと移動します。夕方、暗くなるにつれ個々のワカサギはエサを追い求めながら群れを解きながら湖の中に散っていきます。私がワカサギ釣りを始めた頃、赤城大沼に毎日のように通うベテランの方に手ほどきを受けたのですが、『氷上では、朝は浅場で釣って、9時頃になったら深んどに行く』と教わりました。氷上ワカサギ釣りが出来る約3ヵ月間のうち、多くの場面では、この傾向が当てはまっていたような記憶があります。氷の貼った湖の中はボート釣りの季節に比べ暗いのですが、日中は釣り人の穴などから日光もさしんで、湖中の明るさが わかさぎの行動にも影響していると思います。

     

             
           

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