赤城大沼ワカサギ釣り

電動リールに用いる乾電池について

乾電池/充電電池について

アルカリ単三乾電池

 Club Crestの電動リールは、使用する乾電池にアルカリ乾電池を指定しています。そこで、一般的なアルカリ乾電池を主に説明していますので、充電式乾電池については、各商品の説明書を参考にして頂ければ幸いです。なお、充電式の電池は1本あたりの電圧がアルカリ乾電池より低いので、設計したスプールの回転速度よりが回転が落ちてしまうので、当方の電動リールには不向きです。

 

● マンガン乾電池
  店頭では、黒色又は赤色の外装色になっていて、赤は高出力型(等級=P)黒は超高性能型(等級=PU)と言われるもので、赤マンガンとか黒マンガンとも呼ばれます。二酸化マンガンと亜鉛を塩化亜鉛などの電解質で反応させて電気を得ていて、少ない電力で動作するものや間欠的に使う機器に適しています。具体的には、時計やリモコン、コンロの着火用電源など

 

● アルカリマンガン乾電池
  一般的なアルカリ乾電池の事を指します。二酸化マンガンとカーボンの混合物と亜鉛粉と強アルカリ液の混合ジェルを電解質を介して反応させていて、強い反応が起きる構造から一度に大きな電気が取り出せます。モーターを動かすおもちゃや携帯電話の充電器などが身近な使用方法ですね。また、乾電池は取り出す電力の大きさによっても容量が変化します。実際に大きな電力を引き出した時と小さな電力を引き出した時の容量を測定すると、同じ新品の乾電池でも大きな電力を取り出すと容量が半分程度になってしまう事もありますので、予備の乾電池は必ず用意しましょう。

 

● モバイルバッテリー

 最近は高出力大容量の物が安価で販売されていて、購入する時に悩んでしまう事があるでしょう。ときおり『電動リールにモバイルバッテリーを用いたい』と質問を受けることがあるのですが『モバイルバッテリーは電動リールには使えません』と回答しています。モバイルバッテリーの出力電圧は5.0vですから、電圧を3.0-4.0vに落とし出力電流を3000mA程度確保すれば、マシンガン・エディションST/ATには使えるでしょう。しかし、モバイルバッテリーの出力を超えるテクニカ/スパークについては、大きな起動電流が必要になるので使用できませんし、内部の昇圧回路やセルの損傷が起きてしまうと考えられます。

 

 また、モバイルバッテリーは内部の蓄電部分に3.7vで蓄えたものを、昇圧回路を通して5.0vにしています。充電容量はこの昇圧前(3.7v)の容量ですから、昇圧(5.0v化)に伴う損失が40%ほどあります。また、電動リールで用いるために5.0v出力を3.0vに落とすと、ここで40%の損失が出ることになります。大雑把な計算だと、10000mAの容量の物は3600mAしかないという事です。もし、モバイルバッテリーの容量がが3000-3400mAのものならば、昇降圧損失を考えると単一アルカリ乾電池と変わりません。

 

以下を未読にする為の まとめ

● モバイルバッテリーは使わないこと。

● 新品の乾電池でも、気温が低いと必要な電力が供給出来ない。

● 負荷が大きいほど、電池の容量が少なくなる。

● カイロでの低温火傷に注意する。

交流と直流について

ライトアップした群馬大橋

街路灯に洗濯機、スマホや電動アシスト自転車など生活の様々な場面で電気は用いられていますよね。この電気には直流と交流があります。端的にいうなら『直流はホースを流れる水(水道水)の様な物で、交流は海や湖面の波』といったところでしょうか。もっとも身近な交流電力は家庭用の100vコンセントの電気ですね。

 

 直流電流はプラス極とマイナス極が固定されていて、電流の流れる方向が変わらない電流とイメージするといでしょう。反面、交流はプラス極とマイナス極が頻繁に入れ替わる電流ですから、関東圏では1秒間に50回入れ替わるので50ヘルツと称されます。パソコンの電源コードやスマホのACアダプタをプラス極/マイナス極を考えずにさす事が出来るのは、家庭用のコンセントは交流だからなのです。(スマホのACアダプタなどは、交流から直流へ変換する回路を内蔵しています。)

 

 なお、コンセントのさし口をよく観察すると、穴の長さが違う事に気が付くと思います。家屋の電気工事の時に、長い方は電柱から引き入れた電線の白コード(電柱でアース済み)を接続し、短い方は黒コード(アースなし)をつなぐ決まりになっていますから、黒コード側(短い方)はアースをしていないので、触った場合に感電する事もあります。

 

ポイント!

● 家庭のコンセントから供給されるのは、交流100vである。

       

モーターの回転数と電流

  

  

 電圧を一定にした場合の負荷による回転数と電流変化の様子です。モーターは無負荷で最高回転している状態が消費する電流が一番少なくて、モーターが回っていない状態(映像中の指でロックしている状態)の時に最大電流が流れます。モーターのトルクは、電流の大きさに比例しますので、モーターがロックしている時(0回転時)に最大の電流が流れ、そのモーターが作る事のできる最大のトルクを発生しています。

 

 映像では指の摩擦で負荷を掛けていますが、実際の釣行では軽い錘と重い錘などの重さがモーターへの負荷となります。停止しているモーターに電力が供給されると、モーター内部の電磁石に流れる電流は増えていきます。電磁石は流れる電流に応じた強さの磁力を発生させますから、この磁力がモーターの軸に掛かる負荷をこえると、モーターは回転を始めます。映像内では、スイッチONの瞬間に1000mAを超える場面に相当しまう。

 

 負荷に打ち勝って回り始めたモーターは、掛かっている負荷に応じた電流を消費しながら回転を続けます。したがって、モーターへ掛かる負荷が大きければ、大きな電流を必要とし、負荷が小さければ電流の消費量は少なくなります。

 

ポイント!

● 電流は、モーターの起動時が最も流れる。

● モーターは、電流の供給で回転するが、回転しながら発電も行っている。

● 乾電池から供給される電流が減れば、スプールを回すトルクが作れない。

       

供給電圧とモーターの回転数

 

  

 電池(電圧/電流)が減ると、電動リールの巻上げにも影響が出てきます。モーターの回転速度はモーターへ供給する電圧によって変化しますから、電圧が高ければ回転数も高く電圧が下がれば回転数は下がります。また、モーターは回転数が低いほど電流が流れる特徴を持っていますから、停止状態(0回転)から回り始める瞬間(スイッチONの瞬間)が沢山の電流を消費します。この時の電流を起動電流とか始動/突入電流と称していて、動力機器の設計では考慮しなければならない重要なことなのです。

 

 時々、『電池の残量を測ったら残量はあるが動かない』とか『指で回してやると動く』とかのご連絡を頂くことがあります。乾電池も一緒に送って頂き、電圧を実際の負荷を掛けずに図った場合は公称の電圧がある事が多いのですが『モーターに接続して電圧/電流を測ると、モーターを起動させたり回せるだけの電力が無い』事が多いように感じます。

 

ポイント!

● モーターを回す為にも用いる乾電池の残量は、単に電圧を計っても正しくない。

● 乾電池は、一回の出力が大きい容量が激減する。間欠的かつ出力が小さい方が長持ちする。

電池にはワカサギ釣りは過酷

冬の赤城大沼

  

 わかさぎ釣りの電動リールは、電池から見ると過酷な使用条件になりますよ。わかさぎ釣りの環境は、気温が氷点下から夏の直射日光下まで幅広く用いられます。浅い場所で沢山釣れている時は、モーターの断続時間が短くて電池が休む時間も少ないでしょうし、氷上の外気温に晒されていれば電池の能力は半分程度しか発揮できません。

 

 電池の持ちだけを考えれば、モーターに電流を頻繁に供給しない方がいいのですが、それでは釣果には結びつかないですよね。モーターを回す事は、仕掛けを上げ下げしている証拠ですから『今日は、電池の持ちが悪いな』と感じるような時に、オモリの軽重や魚の釣れ具合/電池の温度などを客観的に判断して、電動リールの電池消費量を『この時期の この水深なら、何匹くらいまで釣れる』のような感じでとらまえておくといいでしょう。

 

 釣行が終わったら、各機器から電池は抜いておきましょう。電池が入ったままだと電池の入る部分の接点に腐食が生じて通電しない故障を引き起こしたり、電池が膨らんで発熱したりすることもあります。置き時計やTVのリモコンなどは長時間にわたり電池を入れて使う事が多いのですが、電動リールは湿度の多い場所での使用と、濡れた他の道具と一緒に保管する場面も多いので、トラブルになる火種は避けた方が得策です。撤収時や自宅に戻ってから電池を抜くのは面倒ですが、必ず電池は抜いて保管しましょう。

 

ポイント!

● 乾電池の容量は用いる負荷によって変化する。

● 低温時は、乾電池をポケットに入れるなど、暖かい環境におくこと。

● 使用後の電動リールからは、必ず乾電池は抜くこと。