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湖沼に住むプランクトンについて

湖の中の生物は様々な生物が生活しています。地上の私達が日々感じている温度や
明るさなど大きく異なっていることがあります。湖の中の多くの生物は植物性プランクトンの光合成
に頼っています。湖の水温や栄養状態に左右される植物性プランクトンや、それをエサにしている
動物性プランクトンに目を向けることによって魚の食生活が見えてくるのではないでしょうか?
もっと詳しくお知りになりたい方は湖沼学などの専門書を御読みください。



まずはじめに植物性プランクトンから アオコ藍藻

 水中の植物プランクトンは水中の栄養素(窒素・リン酸等)
と水中のニ酸化炭素を取り込み、太陽光を用いてタンパク質や
糖分など合成しています。(皆さんご存知の光合成にあたりま
す。)
植物性プランクトンと言っても実は多くの種類があり、藍藻・珪藻
類をはじめ緑藻類や中には鞭毛(毛のようなしっぽ)を持って
いてこれを動かして動き回るものもいます。

夏、ニュースや新聞で伝えられる湖などが緑色に染まってしまう
現象は、アオコと呼ばれ、主に藍藻類の大発生によるものです。
アオコを形成する藍藻類は遺伝子を収納する核を持たず光合
成に用いる葉緑体のような明瞭なものをもたないため原核生
物に分類されます。簡単に言って光合成の出来る細菌のこと
です。
この仲間の中には、カビ臭を発生したり肝臓・神経毒を作るもの
がいて水源にあたる湖沼では、しばしば深刻な問題となって
います。

また、真核藻類の珪藻は珪酸で作った殻に入っていて電子顕微
鏡写真などでとられた写真の中には宝石箱のように美しいもの
もいます。
これらの、植物性プランクトンは動物性プランクトンの餌となり
食物連鎖の基礎を担っていて私達の釣りの対象であるワカサギ
の生態や私達の飲み水に大きく影響を与えています。




光と光合成について                 
 湖の中にはどの位まで光が届くのでしょう?

光は波としての特徴と光の粒としての特徴をあわせもっていま
す。そして太陽の光は赤外線から紫外線までの波長の違う光
を含み昔学校で実験したようにプリズムなどを通過させると美し
い七色を作り出すことも出来ます。

 私達が通常肉眼でとらえている光は可視光と呼ばれ、光合
成にもこの可視光が使われています。太陽から放たれた光は
地球を取り巻く空気やオゾン・水蒸気などに吸収され地上に届
く光のうち約40%が赤外線領域の光で私達は目で見ることが
出来ません。

 私達が太陽の光を暖かく感じるのはこの赤外線によって暖め
られている為で、地球上の生物には非常に重要な役割を担っ
ています。
また、地上に到達した光の内、湖に入ってくる光もあります。
湖に入ってくる光はいくつかの要因に吸収されてしまい、その要
因は水そのものの吸収や汚れ、植物プランクトンなどが主体で
植物プランクトンの量が多いと光が届かない水深では闇の世
界が広がっています。

 今 ここに100%純粋な水の湖が有ったとします。この水面に
光を当てると水は光の中の赤外線から赤い光を良く吸収します
。赤外線は水深10mに満たないでほとんど吸収されてしまい
ます。反面、青い光や緑色の光は吸収率が悪く水深100mで
も約10%前後の光が届いています。深く澄んだ湖が青く見え
る原因の1つでもあります。

 植物性プランクトンは、光の粒を利用して光合成を行なってい
ます。光の粒が光合成を行なう物質にあたると、水と二酸化炭
素から有機物を作り出します。
 植物性プランクトンはいくつかの光合成物質をあわせ持って
いて、青色の光と赤色の光を選択して利用しています。この事
から青く澄んだ湖では深くまで青い光が届き植物性プランクト
ンが生息できる環境があることになります。
 到達深度

透明度と植物性プランクトンについて                    


 一般に湖などの光が届く度合いの表示を透明度で表してい
ます。 透明度は季節や水の流れなどに左右されますが、泥
濁りなどを除いて一般に富栄養湖では植物性プランクトンの大
発生などによって透明度0mを記録されることも有ります。 現
在一般的な透明度の計り方は直径20cm又は30cmの白い
盤を沈め見えなくなった水深と深いところから引き上げて見え
はじめた水深の平均値を○○mと表示しています。

この事は湖に入った光が白い円場に反射して目に届いている
わけですから、光の進んだ距離は透明度の2倍とゆうことに
なります、透明度の水深では光は水面直下の約15%程度と
いわれていて植物プランクトンの光合成量も最大になると見ら
れています。

 では、植物プランクトンはどの位までの明るさまで光合成を行
なえるのでしょう?

 植物性プランクトンは夜間、光合成を行なわず私達と同じよう
に呼吸をしていますが、昼間は通常の呼吸に加え光合成を行
なう為の光呼吸(酸素を吸って二酸化炭素を吐く)とゆうものを
行なっています。光合成に光は必要ですが、光の強さが増す
毎に、この光呼吸が増えて自分で作り出した酸素を消費する
割合も増えていきます。

 植物性プランクトンは、消費しながらも光合成によって酸素や
有機物の合成を行なっていますが、水深が大きくなって光の
量が減ると光合成の量も減って光の量が水面直下の約1%に
なると、昼間生産した酸素や有機物を夜間自分自身で使ってし
まい、生産量=消費量となってしまいます。この深さのことを
『補償深度とか有効層水深』といって季節や天気などに左右さ
れています。そしてこの補償頻度はおおよそ透明度の2倍〜2
.5倍のところにあるとされています。
透明度

プランクトンの増減について


 春、湖は解氷と共に春の循環期を迎えます。この時栄養に富
んだ湖底付近の水が湖全体に行き渡り、植物性プランクトンは
この栄養分を使って盛んに光合成を行い数を増やしていきます
。この頃からミジンコなどが増えた植物性プランクトンを捕食し
て数を急激に増やして行きます。

 湖の透明度が落ちる原因の大きな要素は、風による攪拌や
流れ込む河川からのにごりなどによって大きく左右されていま
す。もし、その様なにごりの原因を取り除けるならば後の最大
の原因は植物性プランクトンの増加によるものです。植物性プ
ランクトンが増えれば透明度が落ち、動物性プランクトンなどに
食べられたりして植物性プランクトンが減れば、湖の透明度は
上がります。

 ミジンコなどの動物性プランクトンは、水温がある程度高く植
物性プランクトンなどの餌が多いほど個体数が急激に増加しま
す。植物性プランクトンの減少ともに透明度が上がりますが、
春から夏に掛けて湖の中の栄養分は植物性プランクトンによっ
て消費されて少なくなっていきます。

 気温の高い夏は多くの湖では水温躍層が形成され湖の、表
面と湖底との水の循環がおこりにくくなっている時期です。この
時期の水中の栄養分は光合成により植物性プランクトンに姿
を変え、死亡したプランクトンは水温躍層を超えて湖底へ有機
物として沈んでいってしまいます。
 
 するとますます栄養分が表水層から足らなくなってしまい植物
性プランクトンの減少に繋がります。

 この時期の動物性プランクトンは餌不足におちいりやすく餓
死するのが増えてきます。動物性プランクトンが減ると植物性
プランクトンが勢力を増してきて秋の循環期に湖底に溜まった
栄養分が湖全体に供給されると、急激に植物プランクトンの個
体数が増え、それを捕食する動物性プランクトンも増加します。

 このようにプランクトン量は1年を通して一定ではなく栄養素
の量や捕食する生き物の数、プランクトンの種類など季節や水
深などによって常に変化しています。
みじんこ

      
氷の下では?・・・

水温
通常、日本の多くの湖は四季を通じて水温による湖水
循環をおこすようである。群馬県にはいくつかの湖沼が
あるが、代表的な結氷湖として赤城大沼や榛名湖があ
る。
右の図は冬季の榛名湖の水温をグラフにしてみた。グラ
フからわかるように秋の循環期(湖水水温が一様になっ
た時)は10月〜11月に起こり一定の温度に達した時に
起こるようはことはなさそうだ。この事から夏を経て低下
する気温によって冷まされる強さと、湖の蓄えている熱量
によって秋の循環期がおこりそうである。

このことから、水温が比較的高めに維持されたまま、冬を
迎えた場合湖面の凍結は遅れると予想される。湖の低層
部の温度は年間を通じて10℃以下の事が多く秋の循環期
に供給された湖底付近の栄養分を使って植物性プラントン
の増殖とその後の動物性プランクトンの発生が予想され、
凍結した湖水の中では動植物性プランクトンは、夏季ほど
の増殖力はなく、低温に比較的強いプランクトンが生存し
ています。冬季の水温・酸素は、湖全体に一様に広がり
動物性プランクトンも一様に生存していると考えられること
から、氷直下から湖底までが捕食できる環境となります。

しかし、赤城大沼・榛名湖等の場合朝、夕の時間帯は水
深の浅い岸際で釣果が上がり、日中は比較的水深の深
いところに、わかさぎの回遊する棚が移動することを魚探
や釣果から見うけられます。

これは、穴釣りに限らずボート釣りも同様ですが、低層に
発達した低酸素領域では、わかさぎは生存できないため
特別な状況を除き水深10m以深では釣果は期待できま
せん。

  
氷の下では?・・・ その2

わむし
捕食している種類
赤城大沼の解禁日に、空けた穴に集まってきたプランクト
ンを採取して、帰宅後ルーペで観察を行いました。

正確な種類が同定できたわけではありませんが、【フクロ
ワムシ】に非常に似ていてクルクルと回りながら観察皿の
中を移動し、体の中央より少しずれたところに、緑色の塊
があり捕食した植物性プランクトンを入れておく【胃】のよう
な器官と思われます。

この日、わかさぎ達は水深4m前後から氷直下にいて盛
んに涌き出てくる様に集まってきたワムシが目で確認出来
る時間帯には比較的釣果が伸びました。

当日、釣ったわかさぎの胃袋も観察しましたが、このプラン
クトンの形跡は発見できず【器具や観察方法の不備】大量
の藻が詰まっており、ワムシによって捕食された植物性プ
ランクトンと判断しました。

湖の表面を覆う氷は非常に光の透過率が悪く、大気中を
進んで来た光は氷の表面で大量に反射されます。また、
氷に雪が積もっている場合にはほぼ100%近くの光は氷
を貫いて湖水中に到達できず、湖の中は漆黒の闇となっ
ています。したがって、氷に空けた穴から光が入ると動物
性プランクトンの持つ光に向かって進む性質からワムシや
ミジンコなどが集まってくるわけです。

多くのわかさぎは1・2種類を捕食しています。群れで回遊
しながら、行き会ったプランクトンを食べ尽くしてから移動して
また、行き会った先のプランクトンを食べる・・・
このような行動からわかさぎは、プランクトンを探し求めて
回遊するのではなく、回遊先で出会ったプランクトンが大
量に存在したときに、食べ尽くすまでの時間が掛かり同じ棚
同じポイントに長時間安定して存在し、えさに対する【食い
気】が高いことになります。

食べ尽くされたプランクトン 食べ尽くされたプランクトン
ここに一冊の専門書があります。著作権の問題で掲載する
事が出来ませんが、イメージを右のように作成しました。

とある水産資源調査の為に高性能の魚探を使って湖を調べ
たところ、水温躍層やプランクトンまで映ってしまいました。
著者は、長年の調査研究からプランクトンを浅瀬の小魚達が
捕食してしまったと結論付けています。

動物性プランクトンは、一日を通して存在している棚が変化
していることが知られています。岸際の浅瀬は湖底の僅かな
起伏や水草によってプランクトンの住みかが提供され比較的
多くの生物が生息していて、日中は魚の出す匂い物質を元に
湖底付近に隠れています。

夕方〜未明にかけて動物性プランクトンは浮上をはじめます。
浮上速度はおおよそ1分間に30cmと見積もられ、日中に潜行
する速度もほぼ同等と考えられます。

では、沖合いはどうなのでしょう?

沖合いでもプランクトン達は水温躍層上部に隠れていて暗く
なると表層近くまで浮上し、深層部に居たプランクトンも水温
躍層の下まで浮上してきます。


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