流れの観察が重要
魚は、水中を流れる昆虫と川に落ちたり羽化して水面を漂う昆虫の両方を見渡せる位置に陣取り、流下する虫達をしきりに追うと考えていいだろう。また、大量のカゲロウが羽化する場合は、水面上に意識を置いている場合もあるし水生昆虫が羽化してしまった(夏)の川では、ハリガネムシに唆されて水面にダイビングするカマキリやカマドウマを主体に捕食していることもある。
釣りを始める前によく観察すると色々な事が見えてくると思う。ポツリ・ポツリとカゲロウが流れる時に元気に水面を割って捕食(ライズ)する場合は、同じポイントに数匹のヤマメがいるからかもしれないし、ブナ虫が流れているときに、モコリとイワナが捕食しているならもうお腹がいっぱいなのかもしれない。
さて、バシャリと水面に出るのは『鳥などの捕食者に食べられない為に急いでいる』とか『命の危険をおかして捕食している』とか言われる事があるが、自分はそんな事はないと思う。魚達は人類の歴史より遥かに長い時間を生き抜いてきた。『命の危険=種の存続に関わる案件』だとしたら、とっくに何かしらの捕食に関する進化をしていると思うのだ。
水面から元気に飛び出すのは、上層部の流下速度を上回るスピードが必要だったり、ライバルに先を越されない為に行動した結果飛び出してしまっただけで、危険を察知して捕食(バシャリ)しているのではない。同様に、落ち込みなどのポイントを観察していると、自分の居ついている場所(緩流帯)から水中沈み込んだ昆虫に対して、彼らは猛スピードで突進して他者より早く捕食しようとするのだから・・・
ただ、ドライフライで釣っていると、流下するフライに寄ってきた魚がユックリと毛鉤の品定めをするような場面も見られ、魚といえども学習したり用心深くなったりするものだと感じる事も多い。